OWASP Top 10 を通じて、Webアプリケーションのセキュリティを学んでいきましょう。
OWASPとOWASP Top10についてはこちら。
https://biz.addisteria.com/what_is_owasp_top10/
今回は最新のOWASP TOP10 2025*で10位の座のMishandling of Exceptional Conditions(例外条件の誤処理)について解説します。こちら、2025年に初登場の項目となります。

Laravelアプリケーション開発時の対策や、バイブコーディング(生成AIコーディング)でも役立つ対策も考えていきますね。
Mishandling of Exceptional Conditions(例外条件の誤処理)
Mishandling of Exceptional Conditions(例外条件の誤処理)について、公式説明ページはこちら:
これはソフトウェアが予測不可能であったり、通常とは異なる処理によってエラーになることを指します。さらに、エラー時の動作がしっかり設定されていないことです。
エラーが全く発生しないソフトウェアを作ることは不可能だと思います。ただ、エラーが起こった時に「安全にエラーになる(fail securely)」ようにすることは可能です。

このことを強調するために、今回、このMishandling of Exceptional Conditions(例外条件の誤処理)という項目が新たに作られたと考えられます。
CWE(共通脆弱性タイプ)
このカテゴリーに含まれる主なCWE(脆弱性分類)は次のとおりです。
- CWE-209: 機密情報を含むエラーメッセージの生成
- CWE-234: パラメータの欠落への対応失敗
- CWE-476: NULLポインタ参照
- CWE-636: 安全に失敗しない(フェイルオープン)
対策
次のような対策が考えられます。
- エラーが発生する場所で直接キャッチして処理する
- ユーザーに分かりやすいエラーメッセージを表示(機密情報は含めない)
- ログにイベントを記録
- 必要に応じてアラートを発行
- グローバル例外ハンドラを設置(見落としに備える)
- トランザクション途中でエラーが発生したら、完全にロールバック
さらに、レート制限、リソースクォータ、スロットリングなどの制限を可能な限り追加して、そもそも例外条件を防ぐようにします。
Laravelでの対策
Laravelでは、エラーハンドリング用のマニュアルページが用意されています。
前回もご紹介したとおり、ログレベルに応じた適切なログ出力を行うことも重要です。
またLaravel固有ではないですが、例えば外部APIを利用する場合や、データベース接続が不安定な場合など、サーバー側でエラーを確実に予測できないような場合には、Try Catch処理は入れておいたほうがいいでしょう。
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public function isValid(string $value): bool { try { // 値をバリデーション… } catch (Throwable $e) { report($e); return false; } } |
try catchとは、エラー(例外)が発生する可能性のある処理をtryブロックで囲み、エラーが発生した場合のcatch処理を記述する仕組みです。失敗した場合に「catch」した箇所の処理を行うことで、フリーズしてしまったりするのを防げます。
バイブコーディング(生成AIコーディング)での注意点
バイブコーディング(生成AIコーディング)の場合、生成AI側では、例外処理をしっかり組み込んでくれないケースが考えられます。
現在のわたしの経験上ですが、生成AIは「動作する」ことに重点を置いてコードを書いてくれます。そのため、惨事に至るケースも少なくないでしょう。
もし動かなかった場合にはどうするか。こちらが指示をしていく意識を持っておくことが大事です。
さいごに
Webアプリは、ほぼかならず、エラーが発生すると思っておいた方がいいでしょう。
原因としては、コードが不適切であったり、あるいはネットワークエラーなど環境が原因となる場合もあります。
こういった場合にどうするか。適切な「例外処理」をしっかり組み込んでおかないと、思わぬ二次災害が発生します。ぜひ、安全に失敗するようにしておきましょう。
今回新たに10位にランクインしたこちらの項目、しっかりと対策しておきたいところです。

さてさて、ここまででOWASP Top10について解説終わりです。また追加で何か書くかもしれません。よろしければ、SNSなどフォローしておいてくださいね。
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準備中

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