ブロックチェーン技術による仮想通貨やトークン発行によって、これまでの社会やお金の価値観が変わろうとしています。ただ
変化は感じられるけれども、今後、お金というものの価値がどうなるのか、ピンとこない。
と思う人も多いのではないでしょうか。
なんて書きつつ、わたし自身が、そんなふうに感じていました。
そこで、この佐藤航陽さん著【お金2.0 新しい経済のルールと生き方】を手にとりました。
本書を読んで「特に良かったなぁ」と思うポイントを、自分なりの解釈を加えて、紹介しますね。
「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」ポイント解説
まず最初に、今の資本主義について少し考えていきます。
今は資本主義の問題点が色々と見え始めている時代といえます。理由としては、価値を増やすよりもお金そのものを増やすことに注意が向けられているためです。
少し前に問題になったサブプライムローンとかが、その最たる例です。
お金が返せるはずのない人に借金をさせてローンを組ませ、これを債権として売り出す。
もはや、誰に何の価値を提供しているのか、分かりません。
こういった無理がたたって、バブルの生成と崩壊が頻発していくようになりました。つまり、本来は価値を反映するはずだったお金が、価値を反映できなくなっていっている。
こういった状況だといえます。
では、もう少し踏み込んで一体どんな点が問題なのか。
本書では、【価値】というのものを次の3つの側面に分けて分析しています。
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①有用性としての価値
役に立つか、儲かるか、利用できるか、という一番分かりやすい側面
②内面的な価値
愛情、共感承認など。たとえばSNSで「いいね」をたくさんもらうとか。感情に影響する側面
③社会的な価値
お金にはならないけれど、社会全体の役位たつ側面があるもの。慈善活動など。
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それぞれ大事なのですが、資本主義社会では、一番最初の【①有用性としての価値】しか評価できません。この【①有用性としての価値】を評価するものとして、お金が使われてきました。
ただこれだと、他の2つの価値がないがしろにされてしまいます。
お金には交換できないけれど、役立つもの、嬉しい気持ちにさせるもの、社会をよくするもの、こういったものが評価されない世の中になってしまうのです。
とはいっても、結局、2つめと3つめの価値をどうやって反映するのか?
また、お金以外で価値を反映させる手があるのか?
今まではこの部分が難しく、解決できない状態でした。ですがブロックチェーン技術による仮想通貨やトークンの発行によって、この部分が解決できる兆しが出てきました。
具体的にどうするかといえば、すでにNFTアートを販売して、報酬を暗号通貨で受け取ることもできます。さらに今後技術が発展してメタバースの世界が実現していけば、さらに可能性が広がっていきます。
映画の「竜とそばかすの姫」という映画の中では、現実社会ではパっとしない主人公が、バーチャルの世界で歌姫として活躍していました。こんなことが世界が現実になろうとしています。
つまり、「お金」を主軸とした今の資本主義経済の世の中と並行して、別の経済で運営される社会が存在する。
各人が自分に合った世界を選ぶ、あるいは複数の世界を行き来する。こんな世の中になっていくと考えられます。
佐藤さんは、「(自分で)経済を選べばいい」と本書で語っています。既存の経済システムでは生きにくいと感じたら、自分に合った経済圏を選ぶ。そんなことが当たり前になっていくのかもしれません。
今後の社会を生き抜くためにしておいたほうが良いこと
これからの世の中では、今までの資本主義では「価値」とみなされなかったものが、価値になる。
たとえば「歌がうまい」「絵が上手」「SNSで良い発言をたくさんする」こういったものが価値として認められ、報酬が得られるようになると考えられます。
逆にこれまでの世の中では「価値」とみなされてお金を得られていたものが、無価値になる可能性もあります。
たとえばコンビニでのレジ打ちや、マニュアルどおりに進める事務仕事は、今後、AI化が進んでいく中で、人の仕事ではなくなるかもしれません。
こういった変化を目前にして、今行っておいたほうが良いことはなにか?
それは「自分なりに一番価値が提供できることを見つけて、そのスキルを磨くこと」かなと思います。またブロックチェーンなり、最新のテクノロジー理解し、使えるようにする力も重要だと考えられます。
さいごに
わたしは、「ブロックチェーンという技術が、これまでの常識を変えていくかもしれない」と感じていました。そこで、どんな社会になるのか、色々と考えてみました。
ただ、これまでの常識が頭の中でストッパーとして働いて、「お金」の枠組みから外れた社会が思い描けませんでした。
生まれたときから「お金を稼ぐ=成功」といった価値観を植え付けられているため、お金の価値が変わるということが理解できなかったのです。
ただ、この本を読んで、このあたりのストッパーが外れたように感じます。
同じように感じていたら、本書を手に取ってみてくださいね。
なお最後に、ひとつ、本書を読むときのご留意事項です。
もし最初の部分を読みかけて「イマイチかも」と思ったら、ぜひ第二章から読み始めてください。
というのも、本書の第一章(108ページまで)は、経済の概念的な部分の説明となっています。「今後のお金」を知りたいと思う読者には、やや冗長の感じがします。
第二章(112ページから)からは、今後のことにフォーカスしていきます。今回ご紹介した内容は、第二章(112ページから)から後半にかけての内容に、自分の解釈を加えたものです。
ちなみに、佐藤さんはその後、「世界2.0」というメタバースに関する本も出版していますが、こちらも読みごたえあります♪
今後どうなるか考えていく上で非常に参考になる書籍を書いてくださって感謝です。