人工知能(AI)は日に日に進化しています。
「このままじゃ私たちの仕事はなくなる」という不安も募りますが、実際のところどうなのでしょう。
AIと今後の予測をまとめてみました。
未来を予測して、早目に今後のサバイバル対策を取っていきましょう。
人工知能には2種類ある:特化型と汎用型
まず最初におさえておきたいのは、人工知能には実は大きく分けて2種類あるという点。
特化型 | ひとつの作業に特化 |
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汎用型 | 人間みたいなロボット |
実はこれまで大きく発展してきたのは特化型AIのほう。
特化型は、あるひとつの面に集中して優れたスキルを持つAIです。
たとえば囲碁の試合でAIが人間を越えた!とニュースになったりしますが、これは特化型AIです。
確かに囲碁の試合では羽生名人を打ち負かす実力があるかもしれませんが、このAIが経済を考えたり、囲碁について講義したりできないですよね。
特化型がいくら発展しても、人間のようになることは考えにくい。
一方汎用型のAIは、一つのことに限られず色々な作業ができる人工知能です。
こちらは、実用化に向けてまだ色々な課題があると言われています。
なので「AIが進化したから、すぐ人間の仕事が取って代わられる!」と不安に感じるのは、まだ早すぎる段階ともいえるでしょう。
今後起こること:全脳エミュレーションとシンギュラリティ
とはいっても、今後この汎用型のAIが進化していき、人間の脳を忠実に再現できる状態になると主張する人もいます。
人間の脳をスキャンして作られる人工知能を「全脳エミュレーション」と呼びますが、これが可能になるのが2030年であるという予測も。
そして2045年にはシンギュラリティが起こるとも言われています。
シンギュラリティとは、人工知能はついに人間の能力を超える地点。
つまり、そこから先は人間ではなくAIが主役の時代がくることになります。
果たしてそんな未来が本当に来るのでしょうか?
人によって意見は異なるものの、このままAIが進化していき、私達の社会が大きく変わっていくことについては誰もが同意せざるをえない状態です。
人間の社会はどう変わるのか:消える職業・残る職業
では具体的に、私たちの社会はどう変わっていくのか?
一番気にかかる部分としては、AIが発展したら人間が不要になるのでは?という点ですよね。
オックスフォード大学の教授による話題の論文から、消える可能性が高い職業、残る可能性が高い職業をそれぞれチェックしてみましょう。
論文では、コンピュータ化が進む度合いに応じて702個の職業のランキングが提示されています。
AIに取って代われる仕事
まずは消える可能性が高い職業から。
【消える可能性が高い職業トップ5】
- No.1 テレマーケター
- No.2 文書管理
- No.3 仕立て屋(手縫い)
- No.4 計算技術者
- No.5 保険引き受け
アメリカの仕事を分類しいており、ちょっと馴染みなない職業が多いですね。
大きく言うとデータ管理系や、決まった作業を行う仕事はAIに置き換えられそうです。
AIが苦手な仕事
では次に残る可能性が高い職業をチェックしてみましょう。
【残る可能性が高い職業トップ5】
- No.1 セラピスト
- No.2 監督者
- No.3 緊急時の管理者
- No.4 ソーシャルワーカー
- No.5 オーディオロジスト (難聴の予防・治療)
AIはこれまでのデータにないイレギュラーな事態に対応するのがニガテそうです。
そういったところでは、最終的には人の仕事が残りそうですね。
また対ヒト向けのサービスは、技術だけでは不十分な面があるので人間が存在する限り残るでしょう。
残る可能性が高い職業
上記ランキングから考えてみると、AIに取って代わられにくそうな仕事は次のいずれかに該当するものといえそうです。
- 対人向けのサービス(セラピスト、対人営業)
- 不規則な事態への対応が求められるもの
またクリエイティブなセンスが必要なものも残るでしょう。
とはいってもAIはこれまでの作品を使って新たなものを創り出すこともできるため、中途半端なセンスでは負けてしまうかもしれません。
残る職業といえども、100%人が行い続けるものは少ないと予想されます。
また反対にAI化が進みそうな職業も100%機械に置き換えられるわけではなく、ある程度人が行う部分は残ると言われています。
つまり今まで10人必要だったところが2人で事足りる状態なる、といった感じですね。
AIに仕事を奪われた後の社会:ベーシックインカム制度
見てきたように、AIがすべての仕事を行えるようになるわけではない。
ただ今まで程の人手は不要になるため、多くの人は職を失うことになり社会に大混乱が訪れる可能性が高い。
経済的大混乱の末に何が起こるか。
これまで大きな戦争は大不況が引き金となってきた歴史を考えてみると、非常に恐ろしいですね。
現在各国政府はこの事態を懸念し、今後の制度について検討を重ねています。
そうした中で浮上しているのが「ベーシック・インカム」制度。
働こうが働くまいが、一定水準のお金を政府が支給してあげるというシステムです。
これがあれば、とりあえず飢え死にせず、生活に必要なものが得られる。
社会も混乱しないですむ、と考えられています。
逆に言えば、他に混乱を止める手立てはないかもしれません。
現在フィンランドなどで既にベーシックインカム制度の試験導入が行われたりしていますが、日本でも今後、議論が進んでいくでしょう。
これから日本経済はどうなるか
こういった変化の中で、日本経済は今後どうなるか。
少子高齢化とデフレで打ちのめされている日本ですが、普通に進んでもどんどん経済が後退していくと考えられます。
ただ、このAIの進化によって状況は変わるのではないでしょうか。
だってAIが頑張って仕事してくれるのだから、少子化ってそれほど問題じゃないんじゃない?
って気がしませんか。
今後日本がAIに関する最新のテクノロジーを産みだしていければ、少ない人数でも十分生産性アップを狙っていけるわけです。
また、この技術を世界に供給すれば、再び経済的に潤う可能性は充分にある。
少子化対策よりもむしろ、この技術的部分で先陣を取れるかどうかが今後の日本経済の行く末を握っているように感じます。
まとめ
今回はAIについて考えてみました。
- 現在は主に特化型AIが進化していますが、今後汎用型AIが進化するとヒトの仕事がどんどんAIに取って代わられるかもしれない
- 2030年あたりからAIが人間の脳を忠実に再現できるという予想があり、全脳エミュレーションと言う
- 仕事がなくなったときに備えて「ベーシックインカム」制度が検討されている
こういった大きな変化に際しては、少子化対策よりもむしろAIへの投資といった部分が重要になるのではないかと感じます。
いずれにしても、ニュースや本に目を向けて最新動向をチェックしていきたいですね。
おすすめの本
なおAIと日本経済については、経済の専門家が書いたAIに関する「人工知能と経済の未来」がためになります。
これまでの産業革命を振り返り、今後の日本の可能性について分かりやすく解説してくれる本。
本記事を書く際にも参考にさせて頂きました。
人工知能化が進む今後に備えるために、読んでおきたい一冊かと思います。