AIは人間の仕事を奪うか【21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考】

読んだ本の感想

21 Lessonsは、「これから、世界はどうなるのだろう」と思う人にぜひ読んでもらいらたい一冊。

今回は、本の中の【AIと仕事】に関する部分を主にご紹介しますね。

結論から言うと、AIによって人の仕事はかなり減り、多くの人間は不要な存在となる危険性が示唆されています。

本書の中に、その場限りの楽観論はありません。

ただ、より広い視野で世の中で起こっていることを考えられるようになります。

「21 Lessons 」の位置づけ

まず最初に、重要なポイントなので、この本の位置づけを解説します。

本書は歴史家、ユヴァル・ノア・ハラリさんの三冊目の本。

最初の本は【サピエンス全史】。我々人類の歴史、つまり過去を解説した本です。

次作【ホモデウス】は、人類の将来を解説した本

タイトルにある「ホモ」は「人」、「デウス」は「神」という意味です。

「人間が神になる」といった意味が含まれています。

この2冊に引き続いて出たのが、この【21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考】。

遠い将来ではなく、まさに今後、何が起こっていくかに焦点をあてています。

過去と未来を語った後、【今の時代】にフォーカスした本が書かれたのです。

じゅんこ
じゅんこ

他の本も読むと、ハラリさんの考え方がより深く理解できる気がします。

AIによる労働の変化~人の仕事はなくなる?

それでは21 Lessonsの紹介にうつります。

今回は、本書の最初で語られている【今後の仕事】について、書きます。

 

じゅんこ
じゅんこ

AIが人の仕事を奪うかどうか。

やっぱり興味があるところって、ここですよね。

GoogleAIアルファゼロが勝利した日

色々な本で「人間の創造性が必要な仕事は残る」とか「AIには感情がないから、結局、人間の代わりはできない」などと語られています。

わたしも「そうかな」と思っていました。

ただ本書を読んで、こういった【AIより人間すごい論】は、コンピュータとAIの違いを区別していないと気づきました。

かつてコンピュータは、人間のチェスチャンピオンを打ち破りました。

コンピュータはさらに進化し、膨大なチェスの記録をもとに、毎秒7000万もの計算をして戦略を練ることができるようになりました。

ところが2017年、このすごいチェスコンピュータは、GoogleのAIにあっさり負けたのです。

Google AIのアルファゼロは、チェスの戦略を教えられていませんでした。

チェスを自分でいちから学んで、4時間でチャンピオンの域に達してしまったのです。

人類がAIの【自ら学習し進化していく力】のすごさを目の当たりにした日でした。

人間がAIより優れている能力って、実は幻想

AIはこのように、コンピュータと違い、自分で学習していく力をもちます。

「そうはいっても、人間には創造力や直感がある。」

「ロボットは、自由意志で何かを決められない。」

と言う人もいるかもしれません。

ですが、こうした「人間の神秘的な特権」ととらえられるスキルも、実はすべて「パターン認識」に過ぎません。

つまり、AIによって再現可能な能力といえます。

さらにAIには人間にはない二つの力があります。

それは接続性と更新可能性。

個々のAIはすべて情報を共有でき、さらに、アップデートもできる。

人間は、たとえば交通ルールを変えようと思ったら、既存のルールを書き替え、これを浸透させるために教育や宣伝が必要になります。

そこまでしても、全員が新しいルールを完全に順守するのはむずかしい。

一方、AIだったら、一瞬で、完璧に、新しいルールに適応できる。

今は「人間にしかできない」と思われている仕事も、想像以上に早く、AIのほうがうまくやってのけるようになるでしょう。

ではAIによって、人間の仕事はなくなるのか?

そんなことはなく、人間の仕事も残るとハラリさんは予想しています。

とはいってもそれは、非常に高度な仕事になります。

今でも、エンジニアやデータサイエンティストなど、ある種の仕事で人手不足が起こっています。

とはいえ、こうした仕事はだれでもできる仕事ではなく、高度な知識が必要になる仕事ばかり。

マニュアルどおりの仕事しかしたことがない労働者の手におえるものではありません。

本には、次のように書かれています。

人間のために新しい仕事を創出するよりも、実際にその仕事に就かせるために人間を訓練するほうが難しいという結果になりかねない。

*ユヴァル・ノア・ハラリ「21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考」

でも昔も同じように失業問題があって、解決できたのでは?

「そうはいっても、産業革命のときにも同じことが起きたでないか」

「あのときの失業問題も乗り越えられたから、今回も大丈夫では?」

という意見もあるかもしれません。

当時も、機械化がすすんで、大量の工場の労働者が職を失いました。

ただその代わり、まもなくスーパーのレジ打ちやお店の店員など、これまでなかったサービス業での雇用が生まれました。

ですが、今起こりつつあることは、以前とはまるで違います。

新しい仕事ができたとしても、高度な教育や知識が不要なものは、人間ではなく、ロボットがこなしたほうが効率が良くなります。

今後、多くの人間は「搾取」されなくなりますが、その代わりに「不要の存在」となってしまう危険性があるのです。

かつて自動車が発明され、馬車が不要になったとき、馬車をひいていた御者は、運転手という仕事に転職することもできました。

ですが「馬」には、需要がなくなりました。

この、かつて馬車の馬に起こったことが、これから、わたしたち人間に起ころうとしているのかもしれません。

さいごに

今回は労働に関する部分を、私見を交えて紹介しました。

ハラリさんの本は、かなり、歯に衣着せぬ表現が多いです^^;

ただこれは、読者に言葉をしっかり伝えたい、現実から目を背けてほしくないためだと思います。

言葉がしっかり伝わると、わたしたちの思考にも影響が残りますよね。

今後の社会や、人間の仕事について考える際、21Lessonsを参考にしてみてください。

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じゅんこ
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ハラリさんの他の本も面白いですが、ちょっと読みにくい部分はあります。読みやすさでいえば、21Lessonsが一番です。

 

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